モリちゃんの酒中日記 11月その2

11月某日
荻島良太さんのサキソフォンリサイタル。市ヶ谷駅で川邉新さん、セルフケアネットワークの高本代表と待ち合わせ。駅近くで軽く食事をとりながら、高本さんが取組んでいるグリーフサポート事業に川邉さんからアドバイスをもらう。川邉さんにご馳走になる。会場のルーテル市ヶ谷センターへ。竹下隆夫さん、田中和也さんに挨拶。荻島さんは亡くなった厚生官僚の荻島國男さんの遺児。私が荻島さんの病室を見舞ったときに見かけた記憶があるが、そのときは中学生だった。愛知県立芸術大学に進学、クラシックのサキソフォン一筋だ。私の退任パーティのときにも演奏してもらった。今回のリサイタルは難度の高い選曲だったと思うが、見事にこなしていた。サキソフォンは確か19世紀にベルギーで発明された比較的新しい楽器。リードを使うので木管楽器だが楽器そのものは金属製。荻島さんの演奏で感じたのだがサキソフォンの高音は和笛に似ている。演奏後、竹下さんにご馳走になる。

11月某日
「音楽・運動療法研究会」で依田明子委員が苑長をやっている川崎市麻生区の特別養護老人ホーム「かないばら苑」を訪問。事務局をやっている宇野裕さんと小田急多摩線の栗平駅で待ち合わせ。依田さんが車で迎えに来てくれる。午前中は新百合ヶ丘の昭和音大で音楽療法の勉強をしている学生と指導教官がボランティアで入居者への音楽療法を実施しているのを見学。入居者の意識は療法を受けているというよりもリクリエーションの一環。「今日はお天気が良くて富士山がよく見えますね」と司会の学生さんが口火を切り、「フジはニッポンイチのヤマ」を参加者と歌う。午後は地域の高齢者のために開催している「ロコモチャレンジ体操教室」を見学させてもらう。見学の後、講師を務めた小泉恵美さんにインタビュー。こちらは90分で参加費用は800円。施設としては赤字だが社会福祉法人の地域貢献事業と位置付けているようだ。私も参加者と一緒に歌を歌ったり体操をしたりしたが、確かに声を出して歌ったり軽い体操をしたりするのは気持ちがよかった。小泉さんによると90分間、体操だけでは高齢者には過激だし、飽きてしまうので歌と体操の組み合わせがキモなのだろう。

11月某日
虎ノ門の日土地ビル地下1階の喫茶店でSCNの高本代表と打ち合わせ。終末期から看取り、グリーフサポートについてのネットワークづくりに挑戦してみることにする。高本さんと別れて私は日土地ビルの別の事務所で打ち合わせ。

11月某日
小学校以来の友人の山本オッチから「みずえちゃんが東京に来ているから会おう」と電話。秋葉原のヨドバシカメラで待ち合わせ。オッチもみずえちゃんも私も、父親が室蘭工業大学の教師で、住まいも近所だった。みずえちゃんは可愛いうえに勉強ができたので、悪ガキたちのマドンナ的存在だったが、愛情表現が未熟な悪ガキ故に「イジメ」の対象となったことがあるかもしれない。3人で3時間ほどおしゃべり。みずえちゃんはこんなにしゃべる人だったかなぁ。私は母の見舞いで来週、北海道へ行くのでその時も会うことにする。

11月某日
「音楽・運動療法研究会」で音楽療法士の井黒さんにインタビュー調査。事務局をやっている宇野さんと三軒茶屋の改札で待ち合わせ。井黒さんが来たので近くのこじゃれた喫茶店でインタビュー。井黒さんの本職は整形外科の事務職だが、国立音楽院で音楽療法を学ぶ。高齢者に加えて自閉症などの障害児への音楽療法をやっている。音楽療法は医療保険、介護保険では対象にならない。作業療法の一部として介護保険の対象になることもあるようだが、あくまでも一部としてだ。放課後デイでも音楽療法を取り入れているところもあるが、音楽療法として例えば支援費の対象ともなっていないようだ。制度的に認められていない、医療保険や介護保険の対象となっていないから、大変だなーということはその通りだ。しかし「制度に縛られない」というメリットもあるように思う。