モリちゃんの酒中日記 11月その3

11月某日
秋葉原のバーミヤンで軽く忘年会。メンバーはHCM社の大橋さん、ネオユニットの土方さん、それに年友企画で経理を担当していた石津さん、それに私。2時に会場に行くと大橋さんと石津さんはすでに来ていた。すぐに土方さんも来て乾杯。3時間ほど食べて呑む。この4人はネオユニットが開発、制作した「胃ろう・吸引シミュレーター」の販売に関わったのが共通点。在庫がなくなっても呑み会は続けたいと思う。

11月某日
17時から神田の「跳人」で忘年会。その前に上野の国立東京博物館で開催されている「はにわ展」を観に行くことにする。平日の午後というのに「はにわ展」は行列ができるほどの賑わい。展示品は写真撮影が自由に行われるのでカメラやスマホで展示物を撮影している人も多い。上野駅に戻ると16時過ぎ、神田駅までJRで、神田駅西口から徒歩で鎌倉河岸ビル地下1回の「跳人」へ。開店まで10分ほど時間があるので店の前の椅子に座って待っていると厚労省OBの小林さんが登場、ほどなく店長があらわれ開店。もう1人、大谷さんも来店して3人が揃う。ビールで乾杯の後、私は日本酒、2人はハイボールを呑む。

11月某日
「エレジーは流れない」(三浦しをん 双葉文庫 2024年10月)を読む。三浦しをんの小説はずいぶん読んできたけれど、概ね面白かった。しかし本作は違った。温泉町に暮らす高校生の群像劇なのだが、私には少しも面白くなかった。まぁ私はこの11月で76歳になった。高校生が主人公の小説に共感できなくてもしょうがないか。

11月某日
「人生オークション」(原田ひ香 講談社文庫 2014年2月)を読む。表題作と「あめよび」の中編2作がおさめられている。「エレジーは流れない」とちがってこちらは面白かった。「人生オークション」は離婚して一人暮らしとなった叔母と、叔母を訪ねてくる姪の話。叔母の持っているブランド品はネットオークションで販売するのだが…。その過程で叔母さんの隠れた過去が明らかになって来る。「あめよび」は雨予備のこと。ラジオ中継される野球放送などが雨天で試合が行われないことに備えた番組のこと。眼鏡店に勤める美子は何年も付き合っている恋人輝男がいる。輝男は工場務めだが「あめよび」番組への投稿が趣味。輝男には美子には明かさない諱(いみな)があるのだが…。この本は我孫子市民図書館で借りたのだが人気があるらしく「この本は、次の人が予約してまっています」という黄色い紙が裏表紙に貼ってあった。早速返してこよう。

11月某日
「ふかいことをおもしろく」(井上ひさし PHP文庫 2024年10月)を読む。井上ひさしは1934年11月、山形県置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。父は作家志望でかつ農民運動にも従事するが34歳の若さで死亡する。母は釜石でラーメンの屋台を始めるが、井上は同居せず、仙台の児童養護施設、ラ・サール・ホームで暮らす。仙台一高を経て、上智大学に進学、在学中から浅草フランス座でストリップの幕合にやっている笑劇の台本を書き始める。1964年からNHKの連続人形劇「ひょっこりひょうたん島」(共作)の台本執筆。69年に「日本人のへそ」で演劇界にデビュー。72年には「手鎖心中」で直木賞を受賞。それ以降、戯曲や小説で相次いで受賞。01年には朝日賞、04年、文化功労者にえらばれる。10年4月に永眠。井上ひさしはユーモア作家として括られることが多いかも知れないが、私は反骨、反戦の作家ととらえたい。井上が現代に生きていればウクライナやガザの現状をどう思うだろうか…。