社長の酒中日記 4月その4

4月某日
夜の予定がないので真直ぐ帰ろうかと思ったが、思い直して学生時代の友人の雨宮弁護士に電話する。雨宮君の事務所がある弁護士ビルの近所の焼き鳥屋「つくね」で吞むことにする。熊本地震や憲法解釈を巡る世間話をする。雨宮君は司法試験合格後、検事に任官、いわゆる「辞め検」なのだが、考え方は極めてリベラル、心地よく酔った。

4月某日
医療介護福祉政策フォーラムの中村秀一理事長を訪問。国際長寿センターのパンフレット、「納得できる旅立ちのために(増補改訂版)」を見せてもらう。国際長寿センターの志藤事務局長に電話したら快く「差し上げます」とのこと。SCNの高本代表といただきに伺う。志藤さんとは初対面だが非常に感じのいい人だった。国際長寿センターから富国生命ビルへ。28階の富国倶楽部で阿曽沼さんと待ち合わせ。阿曽沼さんはすでに到着していてビールを吞んでいた。我々もビールを頼んで呑んでいると現在、オリンピック・パラリンピック組織委員会に出向中の石川直子さんが来る。それから阿曽沼さんが次官のときの「付き」だった石川リコさんと伊藤ブーちゃんも顔を出して、最後に阿曽沼さんが老健局長のときの振興課長だった古都さんが来る。現在の地位や立場はばらばらだがとてもフラットな関係のいい会だった。

4月某日
「胃ろう・吸引」と「気管カニューレ吸引」の手技練習用にシミュレータが開発され、その販売に協力している。その開発者の土方さん、販売しているHCMの大橋社長と三浦さん、それに当社の迫田と私で販売会議を当社で。ホームページの更新状況の説明を土方さんから受けた後、広報のやり方や販売戦術を議論する。5時半になったので当社の向かいの鎌倉河岸ビル地下1階の「跳人」へ。ビールで乾杯後、デュワーズのソーダ割を吞む。社会保険研究所の川上社長の形態に電話したら神保町で吞んでいるというので大橋社長とタクシーで神保町へ。川上社長が社会保険出版社の人たちと吞んでいたので合流。酔ってよく覚えていないが説教をされたようだ。

4月某日
連休が始まる。久しぶりにチェ・ゲバラのTシャツを着る。ゲバラがボリビア山中でボリビア政府軍に殺害されたのは1967年10月9日だったと思う。前日の1967年10月8日は、羽田で三派全学連が当時の佐藤首相のベトナム訪問を阻止するために機動隊と激突、京大生の山崎博昭君が殺されている。私は当時浪人中でデモには参加できなかったが、大学に入学したら「学生運動をやろう」と密かに思ったものだ。山崎君もゲバラも若くして亡くなった。しかしそうであるが故に永続的な革命者として現在も生きているとも言える。成功した革命家は、毛沢東にしろスターリン、金日成にしろ「皇帝」にはなったかもしれないが革命者と呼ぶことはできない。明治維新前に暗殺された坂本龍馬は革命者であり西南戦争に敗れた西郷隆盛も革命者と呼んでいいと思う。大久保利通や伊藤博文は明治の元勲とはなったが革命者ではない。須らく革命は失敗するに限るのであり、だからこそ革命は永続的に続くのだ。
ゲバラのTシャツを着ながらそんなことを考えた。

4月某日
連休2日目の土曜日。溜まっている仕事を少しでも片付けようと出社。工事で連休中はエレベータを使えないのを思い出した。オフィスがある5階まで必死に昇る。当社の大山専務と社労士の鈴木さんが仕事をしていた。邪魔にならないように静かに仕事。今日はセルフケア・ネットワーク(SCN)の理事会・総会後の懇親会に招かれているので、日本橋蛎殻町の「バールLAZY2」に向かう。入り口でやはり招かれてきた社会保険出版社の高本社長に会う。2人でビールを吞んでいるとSCNのメンバーが到着、すっかりご馳走になる。ご機嫌で我孫子に帰り駅前の「愛花」に寄る。

4月某日
経済学者の水野和夫が朝日新聞と日本経済新聞に掲載した書評を中心にまとめた「資本主義がわかる本棚」(日経プレミアムシリーズ 16年2月)を読む。「人類はずっと長い壮大な実験を繰り返してきたが、いまだ完璧な社会システムを手に入れていない。『長い21世紀』に私たちはどうすべきだろうか。古典の中にこそ解がある」(おわりに)という著者の見解には異議はない。異議はないのだが本書で取り上げられた、ブローデル「地中海」、山本義隆「世界の見方の転換」、シュミット「政治神学」、ピケティ「21世紀の資本」など53冊は読むのにちょっとしんどそう。でも図書館にあるのなら連休中にでも読もうかなと我孫子市民図書館に行く。図書館に行ったら「エンゲルス マルクスに将軍と呼ばれた男」(トリストラム・ハント 筑摩書房 16年3月刊)が目についた。序文の「女たらしで、シャンパン好きの資本家が」という1節を読んで借りることにする。もちろんここで言う資本家とはエンゲルスのことである。エンゲルスは「空想から科学へ」の著者「共産党宣言」のマルクスとの共著者として知られ、マルクスの著作は「マルクス・エンゲルス全集」に収められている。そしてエンゲルスはまた成功した工場主でマルクスの庇護者であった。興味は尽きない。連休中に読み切れるか。