12月某日
16時から西国分寺の「にんじんホーム」で児童虐待パンフの打合せがある。その前に花小金井の有料老人ホームに入居している荻島道子さんを訪問。荻島さんの部屋へ行ったら、九段高校の同級生というひとが来ていた。ということは亡くなった荻島国男さんとも同級生ということでひとしきり荻島さんの思い出話をした。たまたま結核予防会の竹下さんの名前が出たら、結核予防会の会長をしていた青木さんという人は随筆家の幸田文(幸田露伴の孫娘)の娘の青木玉(この人も随筆家)の夫ということだった。ふーん、世間は狭いというか生きているといろいろな出会いがあるものだと感じた。荻島さんと別れて近くの白梅学院大学の山路先生(元毎日新聞の記者)に社長退任の挨拶。西国分寺駅でフリーの編集者の浜尾さんと落ち合って「にんじんホーム」へ。石川理事長に担当の楮本(かずもと)さんを紹介される。珍しい苗字で出身は秩父ということだった。楮(こうぞ)はクワ科の植物で和紙の原料として知られる。先祖は秩父で和紙を作っていたのだろうか。打合せを終わって石川さんに西国分寺駅前の「味の山家」でご馳走になる。
12月某日
東大の高齢社会総合研究機構の辻哲夫さん(元厚労次官)に退任の挨拶をしに行く。辻さんは「社長退任を祝う会」にも「先約が入っているので遅れるけど出ます」と言ってくれた。それから根津の青海社の工藤社長にも退任の挨拶。工藤さんと最初に会ったのは我孫子の「愛花」だ。「愛花」のママが「こちらも出版社の社長さん」と紹介されたのだ。工藤さんは糖尿病と診断され、最近あまり吞んでいないようだ。その代り毎日、西日暮里から根津の会社まで歩いているそうだ。一病息災とはよく言ったものである。青海社から茗荷谷の「健康生きがい開発財団」へ。この財団は辻さんが理事長で実務は常務の大谷さんが仕切っている。大谷さんと会社へ戻る。大谷さんと「千両箱」へ。鰺の叩きを頼んだら骨をから揚げにしてくれてこれが旨かった。日本酒をひとり3合ほどいただく。
12月某日
図書館にリクエストしていた「株式会社の終焉」(水野和夫 2016年9月 ディスカヴァリー21)を借りる。人気があるらしく裏表紙に「この本は次の人が予約してまっています。読み終わったらなるべく早くお返しください」と書かれた紙が貼られていた。新書版230ページの本だが、経済学に門外漢の私としては小説を読むようなわけにはいかず、結局、1週間かけて読了した。水野の本は何冊か読んだが歴史的、俯瞰的に日本経済の現状を分析するという視点が気に入っている。理論経済学というか高等数学を駆使した現代経済学は信用できないというのは、私の根拠のない決めつけだが、経済史や経済学史は「歴史」ということから一応信用できると思っている。私が水野の理論を十全に理解したとは言い難い。だが経済が成長し、人口も増大していくという私たちの常識はたかだか19世紀の産業革命以降に当てはまるに過ぎないし、黒田日銀総裁の物価2%上昇の公約の実現も困難となった今、人口も減少し始めた日本では「成長理論」に代わる理論とシステムが求められているということであろう。もちろんそれはアベノミクスではありえない。
12月某日
「居酒屋の戦後史」(橋本健二 2015年2月 祥伝社)を読む。居酒屋を通して戦後の日本社会を描くというのは面白い視点だ。しかし橋本の本質は少し違う気がする。彼の専門は階級・階層論で、その視点から日本の酒を受容してきた文化を論じているのだ。経済的格差の拡大によって日本の酒文化は衰退の危機に瀕している、酒好きならば格差拡大に抗して政治闘争に挑めとアジっている。異議なーし!
12月某日
奈良県の天理市で「地域で安心して暮らせるためのプラットフォームづくり」を目指して異業種交流を行っているNPO法人「つむぎ」の勉強会にセルフケアネットワークの高本代表と参加。京都まで新幹線、京都から近鉄で天理市へ。先週、みのもんたの司会するテレビ番組で「天理スタミナラーメン」のことを放送していたので、昼飯にそれを食べようと高本代表に提案したのだが、「お昼からニンニクたっぷりはダメ!」とあえなく却下、「笑家(えみや)」というレストランに入り、「生姜焼き定食」を頼む。これが正解で食後のコーヒーを含めて実に美味しかった。タクシーで「つむぎ」に迎い、中川代表と山本専務に挨拶。ワークショップに参加させてもらう。ハウスクリーニングをやっている「TRUST CLEAN」の井上さんが面白かった。近鉄で京都へ。京都から新幹線で私は名古屋で下車。「わが家ネット」の児玉さんが迎えに来てくれる。そのまま新幹線口の「YONEZAWAYA」へ。以前、「わが家ネット」の勉強会で会った加藤さんとハウジングアイチの鬼頭さんが来てくれた。シミュレータの販売について打合せ。