社長の酒中日記 6月その2

6月某日
三菱東京UFJ銀行が国債入札に特別な条件で参加できる資格(国債市場特別参加者、プライマリー・ディーラー)を返上する方針を固めたことが昨日の日経朝刊の1面のトップ記事となっていた。マイナス金利で金融機関が国債を引き受ける負担は増大している。日銀も他の金融機関の追随を懸念してこれ以上、マイナス幅は広げることに躊躇するだろう。異次元の金融緩和を軸としたアベノミクスが綻びはじめつつあると私には思える。
結核予防会の竹下専務と神保町の「あい家」で待ち合わせ。この店はもともと有楽町の電気ビル地下1階で「あい谷」として営業していたのだが店名も変えて神保町に出店した。6時半に待ち合わせたが私が6時入店、竹下さんは7時半頃になった。竹下さんが来るまで店主とおしゃべり。店主は札幌出身で高校は札幌北高、大学は千葉大の教育学部で学研で学習雑誌の編集をやっていたという。

6月某日
赤坂にある医療科学研究所に江利川理事長を社保研ティラーレの佐藤社長と訪問。7月の「第10回地方から考える社会保障フォーラム」の講師をお願いしているのでその打合せ。そのあと、内閣府の伊藤明子審議官。「山本繁太郎とその時代」という本が完成したので「シャイの会」用に10冊確保したという連絡をもらったので受け取りに。山本さんは元建設官僚で山口県知事在任中にガンで亡くなった。本は予想以上に立派な出来栄えだった。
「へるぱ!」の取材で横浜市瀬谷区のめぐみ在宅クリニックの小澤竹俊院長にインタビュー。当社の迫田とフリーライターの沢見さんに同行。先生は高校生のとき見たマザー・テレサの映画に影響を受け「この世で一番困っている人たちを救いたい」と医者を志した。とくに死に行く人たちとの苦悩を医者として、人間として向き合っていきたいということから在宅看取りを進めている。初対面だがとても表情が豊かで若々しい先生だった。患者、家族とフラットな関係を築いているのがうかがわれた。インタビュー後、横浜駅構内の日比谷松本楼で迫田、沢見さんと食事。沢見さんは「居合い」を始めたそうだ。

6月某日
SMSの長久保氏と「跳人」で待ち合わせ。長久保さんが来るまで「山本繁太郎とその時代」を読む。私が知る繁太郎さんは「シャイの会」での非常にバランスのとれた姿しか知らないが、この本を読むと呑み屋でのお茶目な姿や国土行政にかかわるまじめな姿、そして故郷、山口に対する思いが伝わってくる。長久保さんが来る前に結核予防会の竹下専務が「乱入していいか?」と来る。次いでフィスメックの小出社長。長久保さんが来た頃にはいい機嫌に出来上がっていた。

6月某日
図書館から借りた「鏡をみてはいけません」(田辺聖子 集英社 96年8月)を読む。初出はマフィン93年8月号-95年5月号。主人公は広告会社を辞めてフリーの絵本作家を目指す30代の女性。小学生の子持ちバツ1、未婚の妹と同居している律と律の家で同棲を始める。実際に田辺聖子は夫人を亡くした子持ちの医者(カモカのおっちゃん)と結婚するが、この小説は田辺の実生活をなぞったところがないとはいえない。小学生の宵太との交流がほほえましく描かれているが、ここらへんにも田辺とカモカのおっちゃんの子供との関係が反映しているように思う。ただこの作品は田辺が60代半ばから後半の作品で、みずみずしさに限れば40代、50代の作品に及ばないように感じた。暮らしの描きぶりだと思うのだけれど。
日経朝刊の経済教室欄の「私見卓見」というコラムで元外務政務官の山中燿子という人がイギリスのサッチャー元首相が79年の総選挙で付加価値税(日本の消費税に相当)の増税を掲げたにもかかわらず、地滑り的大勝をした事実をあげ、サッチャーの増税政策に学ぶべき点を提言している。要約すると①弱者に配慮した軽減税率②インボイス方式(税額票方式による税補足の効率化③税率変更の柔軟性-である。なるほどね。日本とは大きな違いだ。日本でも消費増税の必要性を丁寧に国民に説明しそのうえで弱者への配慮をきちんと行えば国民の多くは増税を受け入れると思う。

6月某日
年住協の森理事、HCMの大橋社長と当社で年住協の新規事業について打合せ。終わって何処へ吞みに行くかで揉めたが、結局久しぶりに「福一」へ。今回気が付いたけどここは食べ物が旨い。焼き鳥もしめ鯖も上出来で値段もリーズナブル。2軒目に神田駅前の居酒屋へ行くがよく覚えていません。

6月某日
結核予防会の竹下専務から「昔、厚生省の資金課にいた吉田さんと吞むからモリちゃんも来れば?」という電話。指定された上野池之端の鷗外荘のレストランへ。レストランへ行く前に鴎外荘の100mほど先にある銭湯、通称「黒湯」へ行くことにする。ここは鉱泉で沸かし湯だが44度くらいあるのじゃないかと思われるほど熱い。水を足すとおじいちゃんに怒られそうなので我慢して1分ほどつかる。さっぱりしてレストランへ。吉田さんは現在、東京都家具健康保険組合の健康管理部長で部下で保健師の遠藤スミレさんを連れてきていた。遠藤さんは兵庫県立保健大学の出身で学生時代はウインドサーフィンやヨットをやっていたというが、そうは見えない色白の美人。4人で根津の「ふらここ」へ。

6月某日
川越の尚美学園大学に高橋幸裕先生をSCNの高本代表理事と市川理事が訪ねるというので同行する。介護職員の看取りやグリーフケアについて意見交換。高橋先生が校内を案内してくれたがグラウンドでは女子の硬式野球部員が練習していた。尚美学園大学は女子サッカーも強いのだそうだ。京大の阿曽沼理事が出張で東京に来ているらしく「今晩時間ある?」のメール。「5時以降フリー」とメールを返すと「東京駅周辺で5時以降店を予約しておいて」。市川理事が新丸ビルの「四川豆花荘」を勧めるのでそこを予約。5時を少し回ってから着くと阿曽沼さんはすでにビールを吞んでいた。友愛十次会の小林和弘さんが来る。舛添東京都知事の進退問題と厚労省の人事が話題に。