8月某日
西国分寺の「にんじんホーム」で石川はるえ理事長に面談。石川さんが進めている虐待防止の絵本制作プロジェクト「いのちすこやかプロジェクト」について意見を具申。共通の友人である長岡市長の森さんが新潟県知事選挙に出馬することについても意見交換。そのあと西国分寺駅北口のイワシ料理の店「たつみ」でご馳走になる。この店は何度か連れて行ってもらったが、料理が美味しいうえお店で働いている人がとても感じがいい。
8月某日
SMSで「カイポケマガジン」編集長の田中君、当社の迫田と次号以降の打合せ。SMSは住友不動産芝公園タワービルの2フロアを使用している。世間的な知名度は高くないが介護事業者に介護報酬請求などのソフトを販売したり、介護人材情報の提供などで業績を伸ばしている新興の優良企業。ネットマガジンの編集などを請け負っていたが「カイポケマガジン」は介護事業者向けの活字媒体だ。田中君はなかなかの好青年で打合せを終えた後で「吞みに行こう」と約束していたが、頚椎を痛めたとかで今回は参加できず。元厚労省で長崎県立大学の客員教授をしている堤修三さんに声をかけていたので「飲み会」の方は予定通りに実行。SMSの長久保君に声をかけたら「空いてます」ということなので誘うことにした。西新橋の「花半」に行くと堤さんはすでに来ていた。ビールで乾杯のあと冷酒に。遅れて長久保君が来た頃にはだいぶ酔っていた。
8月某日
久しぶりに吞もうとプレハブ建築協会の合田専務と高齢者住宅財団の落合さんにメール。今日が都合がいいということなので神田駅前の葡萄舎に集合。6時半過ぎに行ったら合田さんがすでに来ていた。落合さんが遅れてくるということなので先に始める。合田さんは元建設省の住宅技官。私が日本プレハブ新聞で建設省住宅局の住宅生産課を取材していたとき、プレハブ住宅担当の係長だった。昔話をしていると落合さんが来る。落合さんは高齢者住宅財団で企画や調査、機関誌の編集などをやっている(と思う。仕事の話はあまりしないのでよくは知らない)。合田さんとは30年以上、落合さんとは20年以上の付き合い。
合田さんは熊本地震への仮設住宅の対応で今週は熊本出張ということだ。
8月某日
図書館から借りた佐藤雅美の「八州廻り桑山十兵衛 花輪茂十郎の特技」(文春文庫 08年4月 単行本は05年4月)を読む。佐藤雅美は物語の筋が面白いうえに時代考証がしっかりしていて私にはお気に入りの作家。主なシリーズに「半次捕物控」「物書同心居眠り紋蔵」「縮尻鏡三郎」「町医北村宗哲」それにこの「八州廻り桑山十兵衛」などがある。八州廻りとは関東取締出役の通称。八州は武蔵、相模、伊豆、下総、上総、下野、上野、常陸の八か国のこと(だと思う、多分)。将軍家お膝元の江戸近郊ということになるが、小藩と天領、旗本領が入り組み、治安の維持に苦慮した幕府が勘定奉行の配下に八州廻りをおいた。八州廻りの日当は一人一日銀十二匁六分、両に換算すると0.12両となり、年に実働300日として63両になる。その他「使い捨て(領収書の要らない出費)が日に300文、年に13両の合計76両。これに桑山十兵衛の90俵3人扶持を金に換算するとおよそ40両弱。つまり年収で言えば116両と言ったところ。八州廻りは町奉行で言えば同心と同格のようだから「お目見え」以下の御家人、幕府の官僚組織では直参の旗本をキャリア官僚とすれば御家人はノンキャリの専門職か。と言うようなことを考えながら読む楽しみも佐藤雅美の小説にはあるのだ。
8月某日
図書館でたまたま手にした新潮文庫の「消費税 政と官との『10年戦争』」(清水真人 2015年)が面白そうだったので借りることにする。文庫本でも500ページを超えると読み応えがあるが、この本はボリュームだけではなく中身も十分読み応えがある。著者の清水は1964年生まれ。東大法学部卒の日経の記者だが政治家と官僚を中心に、相当なネットワークを築いているとみられる。消費税を巡る政官の10年戦争と言うことだが、絞ると政は自民党、公明党と民主党、官は財政省と厚労省である。なぜ厚労省かと言えば、消費増税分はすなわち社会保障の充実に費やされることになっており、もし消費増税がなかりせば高齢化に伴う社会保障給付費用の増大を賄いきれず、国家財政は破たんを余儀なくされるからである。したがって本書にも江利川、香取、山崎、阿曽沼といった私の知っている厚生官僚たちも登場する。
自公政権から民主党へ、さらに民主党から自公へと、この国は2度の政権交代を経験した。政権交代は無用な混乱を招くことも多々あるが、「政権交代も悪いことばかりじゃないな」と本書を読んで感じた。ときの政権が不安定であることが政権交代の一つの要因だと思うが、不安定であるがゆえに与野党ともに真剣に政策論議を深めるのではないかと思う。その意味では自民党が圧倒多数を占める国会、安倍首相の1強他弱状態の自民党、どっちも緊張感に欠けているのじゃないの?と言わざるを得ません。