2月某日
図書館で借りた「日本の死に至る病 アベノミクスの罪と罰」(河出書房新社 倉重篤郎 2016年10月)を読む。毎日新聞の専門編集委員の倉重が経済学者や政治家にインタビューしたものをまとめた。私はもともとアベノミクスは評価していない。ただ確たる理論的な根拠があって評価していないわけではなく、安倍晋三という存在が気に食わないという感情的なものと「実績がともなっていないじゃないの?」という感性的な反発である。この本は14人の経済学者や政治家へのインタビューが掲載されている。吉川洋一氏は、安倍政権の株高、企業業績アップはアベノミクスそのものの実力というより景気循環の上昇期と重なった恩恵を相当受けているとにべもない。財務省出身の森信茂樹氏は消費増税再延期ついて「一番の問題は消費税は政争の具にしないという三党合意が破られたことだ。(中略)要は、国民の政治に対する信頼がなくなった。それが一番大きな問題だ」とし、2番目はいずれの政党も増税は先送り、社会保障財源については赤字国債だとか、別の財源を探すとか、いい加減な話になってきていると手厳しい。批判の矛先は安倍首相だけでなく野党にも向かう。伊東光晴氏は「成長を分不相応に望まないこと。今あるパイの中で富を高齢者から若者にシフトする再分配政策を取ること」とコメントする。しかし安倍自民党は選挙で国民の信託を受けた。自民党内でも安倍は一強多弱である。どうなる日本‼。
2月某日
土曜日だけれど民介協の事例発表会があるので会社へ。会社で少し仕事をした後、事例発表会の会場へ。これからの地域で高齢者の生活を支えるとなると行政やボランティア、社協の力だけでは不十分でどうしても介護事業者の力が必要になってくると思われる。民介協の事例発表会もそうした観点から非常に参考になった。事例発表会の合間にカラーズの田尻社長、エルフィスの阿部社長にあいさつ。事例発表会の後の懇親会で民介協の佐藤理事長、扇田理事長、馬袋特別理事にあいさつ、大阪の在宅介護サービスのヒューマンリンクの西村社長と歓談。西村社長はもともとは障害者支援から介護サービスに入った人のようで「それまでは運転手」と言っていた。そういえばパンプキンの渡邊会長も元運転手。「介護業界の社長にはガテン系が多い」ということは言えないだろうか。懇親会でビールとワインをご馳走になり我孫子駅前の愛花へ。
2月某日
図書館でリクエストした「綴られる愛人」(井上荒野 2016年10月 集英社)を読む。井上は小説家で1992年に66歳で死んだ井上光晴の長女だけれど、今はそんなことを知っている若い読者はほとんどいないだろう。「綴られる愛人」だけが、私は面白く読んだ。主人公の柚は児童小説家。夫は出版社に勤める編集者だが柚のプロデューサーであり、有の創作活動を実質的に支配している。柚はそれに耐えられないが表面的には仲の良い夫婦を装っている。もうひとりの主人公、航大(こうた)は富山県魚津市の大学3年生、恋人はいるが恋愛にも就職活動にも真剣に取り組めない。そんな2人を結びつけたのが「綴り人の会」という文通サークル。柚は28歳の専業主婦、航大は35歳の貿易会社のサラリーマンとして文通を始める。柚は夫に殺意を抱き航大に犯行を依頼する、というようなストーリーなのだが、幸せそうな夫婦の日常に潜む悪意(それは夫にも妻にもある)が巧みに描かれていると思う。
2月某日
川村学園大学の吉武先生から電話。「今夜空いてる?」「社長辞めてから夜はヒマだよ」「学士会館で食事会があってその後フラココに行こうと思うんだけどモリちゃんもどう?9時頃まで大谷さんとでも吞んでいれば」。「うん」と返事をしたけれど、大体9時まで誰と吞もうが俺の勝手じゃないか! とは言え大谷さんに電話すると今、大宮だとか。日暮里駅前の居酒屋「喜酔」で待ち合わせ。私が席に着いて5分もしないで大谷さんが来る。ナマコや刺身の三点盛を肴にビールと日本酒を吞む。大谷さんに「もう社長じゃないから割り勘ね」とお願いする。根津のフラココへ。大谷さんは明日が早いとか言って5000円を置いて帰る。しばらくすると吉武さんが2人連れて来る。なんでも東大のときの先輩かなにかだという。こっちはもう出来上がってしまったよ。勘定は習慣で私が払ってしまった。