8月某日
会社近くの呑み屋「跳人」の大谷さんに目黒の雅叙園でやっている「アートイルミネーション 和のあかり×百段階段」のチケットをもらった。折角なのでフリーライターの香川さんを誘っていくことにする。目黒駅で待ち合わせて雅叙園に行く。確か30年近く前に「年金と住宅」という雑誌の「古地図を歩く」という連載で、筆者の中村一成さんとカメラマンの緒方さんと取材に訪れたことがある。かつて雅叙園があったと思われる一角にはタワーホテルが建ち印象は一変していた。百段階段のある建物は昭和10年建築で、雅叙園に唯一現存する木造建築だそうで、ウィキペディアで調べると太宰治の小説の舞台にもなったそうだ。見終わってから目黒駅の反対側にあるPIZZERIA&BAR CERTOで食事。
8月某日
来年の「医療・介護ダブル改定の最新情報と対策」をSMSの介護経営コンサルタント星野公輔さんが講演するというので住友不動産芝公園タワーのSMSまで当社の迫田と聞きに行く。会場には介護事業者と思しき人たちが50人ほど集まっていた。大変参考になる講演だったが、乱暴に要約すると、日本全体が高齢化と労働力人口の減少により財政難と人手不足に陥っている、しかし利用者数が約1.5倍に増えることや入院期間の短縮によりマーケットは拡大し、IT、IOT、ロボット、クラウド等の導入により生産性の向上が図られるというもの。医療と介護は間違いなく成長産業だが、医療報酬と介護報酬の伸びは抑制されざるを得ない。報酬の点数は切り下げられるということだ。星野氏は訪問介護の収支差率(経常利益率)の5.5%が中小企業平均(2014年度:3.6%)くらいに下げる可能性ありとしていた。我孫子に10時頃帰り、駅前の「愛花」に寄る。昔常連だった「ゆきっぺ」が来ていた。「私も60過ぎたのよ」と言っていたがあまり変わらないように見えたけどね。
8月某日
慶應大学商学部教授の権丈善一先生の「ちょっと気になる医療と介護」(勁草書房 2017年1月)を読む。権丈さんは前回の「地方から考える社会保障フォーラム」に講師として来ていただいた。そのとき前著の「ちょっと気になる社会保障」を読んだが、「医療と介護」はさらに過激になっているように思う。それだけ日本の社会保障制度の持続可能性がピンチに立たされているということなんだろう。権丈さんは戦闘的と形容詞をつけたいほどの改革論者だ。しかも実証的で実践的な議論を進める。例えば「第6章 競争から協調へ」では舞鶴市の例を挙げて、国立病院や日赤、市立病院などの公的病院に医師が分散して患者を奪い合い状況にあると指摘、新型医療法人の創設を提案する。この法人に参加する国立病院や公的病院は本部から切り離されることを法律的に担保するというのだ。系列病院による病院完結型医療から地域完結型医療への転換ということでもあるのだろう。普通の専門書や新書では巻末に「注」が付いているのだが、本書は「知識補給」として長めの「注釈」が施されている。「指標と政策概念の間にあるギャップ」では「指標頼りの政策は、指標の変化が起こりやすい近辺の政策に政策担当者の関心を集中させて、本当に深刻な問題を放置させる」ことも起こりかねないとし「大切なことは、指標よりも人の思考力の方が上」と強調。同感です。他にも小選挙区制や内閣人事局についての考えにも全く賛成!