モリちゃんの酒中日記 2月その2

2月某日
江利川毅さんと川邉新さんは1970年厚生省入省の同期。今から30年も前だと思うが相次いで年金局の資金課長を務めた。その時の課長補佐が足利聖治さんと岩野正史さん。資金課は年金積立金の運用管理が主たる業務で、当時の年金福祉事業団も管轄していた。年金住宅福祉協会の企画課長だった竹下さん、年友企画で年金住宅融資を担当していた私も加わって不定期で呑み会をやっている。会場はいつも「ビアレストランかまくら橋」。前々回くらいから1980年入省の茅野千江子さんとセルフケアネットワークの高本真佐子さんがメンバーに加わっているが、今回は高本さんは風邪でお休み。会は18時スタートだが川邉さんと私は17時30分にスタート。次いで岩野さん、竹下さんが来る。18時30分過ぎには全員が揃って乾杯。焼酎のボトルを2本開けて最後にスパゲッティをみんなでシェアしてお開きに。

2月某日
新橋駅の烏森口で新宿歌舞伎町のクラブ「ジャックと豆の木」のマスター、三輪さんと待ち合わせ。「ジャックと豆の木」通称「豆の木」は10年ほど前に閉店、三輪さんは奥さんの実家がある鹿児島に引っ越しているが、病気治療のため年に何回か上京する。新橋駅前のニュー新橋ビルの地下1階にある「喜代」という居酒屋に入る。ご多分に漏れずウエイトレスは中国人と思しき外国人。ウエイトレスおすすめの「しめ鯖」を頼むと意外においしかった。昔の「豆の木」の常連の話で盛り上がる。三輪さんは律義な人で亡くなった私の母へ供え物を持ってきてくれる。

2月某日
元厚生労働省の堤修三さん、岩野正史さんと「ビアレストランかまくら橋」で。岩野さんは昔、堤さんの下で仕事をしていたことがあるようで「堤さんと飲むときは僕にも声かけて」と言われていたこと思い出して誘うことにする。堤さんは頼まれて大きな社会福祉法人の理事長をやらされていて週に何回か法人本部のある名古屋に通っているそうだ。遅れて年友企画の迫田さんが参加。

2月某日
神田のベルギー料理店「シャン・ド・ソレイユ」で食文化研究会に参加。元厚生労働省の吉武民樹さんに誘われる。京都大学産官学連携本部東京事務所長の大谷源一も一緒。食文化研究会は今回は55回目だそうで、今回の講師は文教大学栄養学部教授の福永淑子先生。福永先生は我孫子の川村女子学園大学で吉武さんと同僚だった。その縁で何度か食事を一緒にしたことがある。日本に帰化しているが、福永先生は台湾生まれ。で今回のテーマは「フォルモサ(formosa)”麗しの島“台湾の発酵調味料・食材を楽しむ会」。福永先生の講演で台湾の食文化の奥深さの一端を知ることができた。講演後、食事会。「大根漬と卵のふわふわ焼き」「シナチクとスペアリブ」「台湾麺」などを頂く。台湾のアルコール度数の高いお酒、ワインも頂く。食事が終わった後、吉武さんと神田の銭湯「稲荷湯」へ。吉武さんと別れた後、御徒町の台湾料理店「大興」へ。今日は台湾料理オンパレード。東京都介護福祉士会会長の白井幸久さん、さっきまで一緒だった大谷源一さん、それと埼玉福祉専門学校の飯塚さんが来る。ワインを呑む。我孫子に帰って「愛花」に寄る。

2月某日
ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの「忘れられた巨人」(早川文庫 2017年10月)を読む。舞台は中世のイギリス(ブリテン島)。アクセルとベアトリスの老夫婦が遠い村に住んでいるという息子に会いに行き、様々な困難に遭遇するという物語。5世紀末にサクソン人を撃退した「アーサー王伝説」を下敷きにしている。日本でいうと古事記や日本書紀に題材をとった長編小説ということになる。ということは5歳で来日したイギリス人が日本の神話を下敷きにした長編小説を書いたと等しいわけ。アーサー王伝説やイギリスの中世史にうとい私にとってはハードルの高い小説と言えるが、そこはノーベル賞作家、読者を飽きさせない構成、巧みな描写によって文庫本で500ページ近い長編を読ませる。イシグロの他の著作も読んでみたい。