モリちゃんの酒中日記 10月その2

10月某日
思い立って福島県のいわきに行く。起床が遅かったのでお昼過ぎの勝田行きの常磐線に乗車、水戸で特急に乗り換える。途中で緊急連絡が入ったとかで20分ほど遅れ16時近くにいわきに到着。いわきから2つ先の四ツ倉まで行きたかったのだが、列車遅れのため接続列車に乗れず、四ツ倉行は断念。北海道の弟からジャガイモを送ってきたので駅前のスーパーで福島の桃と梨を購入、弟宅に送って貰う。品川行きの特急に乗車。水戸から先は上野まで停車しないので水戸で後続の特急に乗り換え柏で下車、我孫子まで戻る。

10月某日
「宗教と過激思想-現代の信仰と社会に何が起きているか」(藤原聖子 中公新書 2021年5月)を読む。過激な宗教とはイスラムのIS(イスラム国)やアフガニスタンのタリバンが思い浮かぶ。日本のオウム真理教も過激思想と言えるだろう。何を以て過激とするかだが、信仰する宗教のためには暴力や殺人も辞さず、場合によっては軍事行動に踏み切るということだろう。イスラム系過激思想を紹介する章では、アルカイダやISの源流とされる思想家、サイイド・クトゥプが注目される。クトゥプはエジプトで王制を倒したナセル-彼は非イスラム的独裁者だった-を真っ向から批判し、国家転覆容疑で処刑されている。イスラムやキリスト教、仏教は世界宗教だが、民族宗教の過激思想も紹介され、その一つとして日本の神道の過激思想も取り上げられている。代表的な思想家は「自然真営道」を著した安藤昌益である。この書は「開けてみると目がつぶれる謀反の書」と言われていたそうだ。「宗教と過激思想」というのは面白そうなテーマではあるが私にとっては荷が重い。

10月某日
衆議院選挙の千葉県第8区(柏市、我孫子市)に立候補している本庄さとし(立憲民主党)が「あおぞらトーク@マーク手賀沼」というのを11時から手賀沼公園でやるというので聴きに行くことにする。あおぞらトークということだったが、土砂降りの雨だったために会場をアビスタの大会議室に移しての開催だった。候補者は東大法学部出身で岡田克也の秘書を務め、立憲民主党の公募を経て候補者となった。大会議室は満席で立ち見も何人かいた。本庄さんの政策について30分ほど話した後に質疑応答となったが、語り口は丁寧かつフランクで私は好感を持った。子ども食堂や障害者施設を運営している人、介護士からの質問もあり、質問もバラエティに富んでいた。我孫子市民もなかなかのものである。しかし聴衆の多くは私と同年代と思われる男女で高齢化が難点と思われる。

10月某日
ほぼ月一で内科のクリニックを受診する。我孫子駅前の中山クリニックで院長の中山先生は東大医学部卒でまだ40代である。高血圧症のための受診なのだが、このところ血圧高めで先生が計っても150を超えていた。先生は「このところ寒いですからね」と言いつつ薬の成分量を変えてくれた。近くの調剤薬局に寄って手賀沼公園で一休み。天気が良くて空気が澄んでいるせいか東京スカイツリーがよく見える。手賀沼公園には犬の散歩に訪れる人が多いようだ。釣り人も何人かいる。ベンチに座ってそんな光景をぼんやりと眺める。平和だね。

10月某日
「武士論-古代中世史から見直す」(五味文彦 講談社選書メチエ 2021年5月)を読む。著者の五味は1946年、山梨県生まれ。東大国史学科卒、大学院人文科学研究科博士課程中退で現在は東大名誉教授である。この本では「武士とは朝廷に武芸を奉仕する下級武官で、文人と対をなす諸道の一つである」と定義している。下級の官人であった武家が保元、平治の乱を経て平氏が政権を掌握するも、源平の争乱によって平氏は壇ノ浦に滅ぶ。この時入水した安徳天皇とともに三種の神器も瀬戸内海に沈んだはずだけど、どうなったのか。鎌倉に幕府を開いた源氏はしかし、頼朝から三代しか続かなかった。将軍は京都の貴族や皇族から迎えるのだが実権は北条家が握ることになる。北条氏が新田義貞や足利尊氏に滅ぼされるのが西暦1333年。大学受験のとき1333年を「一味さんざん北条氏」と覚えたっけ。南北朝の動乱を経て足利政権が成立する。10世紀から15世紀までの武家の歴史を振り返ったのが本書である。