モリちゃんの酒中日記 5月その3

5月某日
「明日、あたらしい歌をうたう」(角田光代 水鈴社 2026年3月)を読む。新(あらた)と拓人、陽菜は小学校からの仲良し。通っていた小学校は別々だが、拓人とはピアノ教室で、陽菜とはお絵描き教室で出会った。新には父親がいない。物心がつく前に死んだと聞かされていたのだが…。父の死の真相は…。人間の成長とか連帯についてちょいと考えさせられた。

5月某日
「シリーズ日本古代史②ヤマト王権」(吉村武彦 岩波新書 2010年11月)を読む。日本列島にはじめて成立した統治システムがヤマト政権で、成立時期は4世紀前半と想定されている。本書はヤマト王権の伝承と由来を古事記と日本書紀によって探る一方、中国の王朝の正史や広開土王の碑の文字などや考古学的資料に基づいても探る。吉村武彦は1945年、朝鮮生まれ。京都・大阪育ち。東大文学部国史学卒、同大大学院国史学専攻博士課程中退、この本の出版当時は明治大学文学部教授となっているが、現在は名誉教授だろう。ヤマト王権の成立は「謎の4世紀」と言われるように未だ謎に包まれている。しかし本書の叙述は私にはわかりやすかった。

5月某日
床屋さんの「髪風船」に行くと待合スペースの椅子がすべて埋まっていた。髪風船を出て近くのイトーヨーカドーで時間をつぶすことにする。イトーヨーカドーの3階の本屋近くには休憩用の椅子が置いてあるのでそこで読書。1時間ほどしてから再び髪風船へ。椅子に座って再び読書。順番が来て散髪。料金を払って外へ。店内に「7月から値上げします」の貼り紙があった。この1、2年、世界的にインフレ傾向が続いているが、ホルムズ海峡封鎖以降は拍車がかかっているようだ。駅南口の蕎麦屋「三谷屋」で親子丼を食べる。680円は安い!こちらはまだ値上げのアナウンスはないが、早晩、値上げは必至であろう。徒歩で自宅近くのマツモトキヨシへ。昨日で備蓄が切れた缶ビールを購入。

5月某日
「継体天皇-六世紀に現れた世襲王権の「始祖王」」(河内春人 中公新書 2026年5月)を読む。普段、本は我孫子市民図書館で借りるのだが、本書は新聞広告を見て即、購入した。日本古代史には昔から興味があったが、吉村武彦の「ヤマト王権」を読んで再び火がついたようだ。そういえば河内晴人は明治大学文学部卒、同大学院博士課程中退とあるから吉村武彦の弟子かも知れない。実在が確認できる最初の天皇である第10代崇神天皇の皇統が第25代武烈天皇で途切れたとき、仁徳天皇の五世の孫が北陸から呼ばれた。後の継体天皇である。ちなみに本書によると武烈天皇の存在は否定されている。本書は日本書紀、古事記の綿密な史料批判を通じて継体天皇の治世を描く。武烈天皇は「民を慈しまず、むしろ殺してそれを喜びとする暴虐の君主であったことを「日本書紀」は強調する」が、同じような記述が中国古典にあるとする。河内春人は1970年生まれ、現在、関東学院大学経済学部教授。

5月某日
年金委員を拝命している。確か厚生労働大臣の任命だったように記憶しているのだが。その年金委員会の研修が新松戸の松戸年金事務所であるので出席する。事務所の副所長が最近の年金事情について説明してくれる。外国人労働者が増えているが年金の適用を受けていない外国人も多いようだ。私は現在、年金受給者だが加入していて本当に良かったと思っている。15時から1時間ほど副所長の話を聞いて散会。新松戸には年金住宅福祉協会の職員だった林弘幸さんが住んでいるので駅前の日高屋で会うことにする。今年の11月に78歳になる私。外で呑む機会も減ってしまったが、林さんとの時間は貴重なひと時であった。

5月某日
「1+1」(井上荒野 潮出版社 2026年4月)を読む。1+1は「ワン・プラス・ワン」と読む。俳句結社「水軍」に関わる登場人物。惹句に曰く「料理と飲み物、味わう二人。「ペアリングをモチーフにした掌編小説集」。井上荒野にはレストランを舞台にした小説や料理を題材にした小説がいくつかある。恐らく本人が料理好きなのであろう。巻末に潮文庫の「荒野の胃袋」(井上荒野)の広告が載っていた。今度、読んでみよう。