モリちゃんの酒中日記 3月その1

3月某日
「パッキパキ北京」(綿矢リサ 集英社 2023年12月)を読む。綿矢リサの小説を読むのは初めてかもしれない。84年京都府生まれ。01年高校生のときに文藝賞受賞。04年早稲田大学在学中に「蹴りたい背中」で芥川賞を受賞。若くして作家デビューを果たした著者も今年40歳になるんだ。さて本作「パッキパッキ北京」であるが私は面白く読んだ。といっても今年75歳になる私としては理解できない表現もいくつかあった。ストーリーは20歳以上年の離れたバツイチの男性と結婚した私が、夫の赴任先である北京を訪れ、街をウロツキ、ショッピングや食事を楽しむというもの。タイトルは主人公が北京の凍った川を見ているときに頭のなかに流れてきたラップにちなむ。
 適応障害イミ分からん
 世間が私に適応すべき
(のんしゃらりー のんしゃらりー)
 キミは知らんと思うがね
 冬の北京はバッキパキ
(ヘイのんしゃらりー のんしゃらりー)   というラップである。
北京の清潔な空気を漂わす天壇公園と少し外れた地域の陰気な気配。主人公は東京と比較して次のような感想を残す。「シビアなほど陰と陽をはっきりさせる北京と、ごちゃついてるけどまんべんなく全体的に良くしていこうとしてる東京では、そもそも目指している都市の未来の姿が違う気がする」。中国における権威主義的な再開発とそれに取り残された地域のことを言っているのか。私には十分に批評的に感じられた。

3月某日
バス停のアビスタ前から坂東バスで八坂神社前まで5分ほど。八坂神社前から徒歩3分ほどで中山クリニックへ。高血圧の月1回の診察。いつもは閑散としている待合室が今日は高齢者夫婦が3組ほど。私が受診したのは12時を過ぎていた。八坂神社前からバスで若松まで。横浜ラーメン寿美屋で小ラーメン800円を食べる。横断歩道を渡ったウエルシアで中山クリニックの処方箋を渡し、明日の午前中に取りにくると伝える。明日11時30分からウエルシアの近所のマッサージ店で予約をしているため。
本日2度目のバス。今回は我孫子駅まで。我孫子から上野まで常磐線で。上野駅から歩いて御徒町へ。御徒町駅前の吉池本店ビルへ。今日は9階の吉池食堂で4月に年友企画を辞める石津さんと以前に年友企画社員だった寺山(旧姓村井)さんと呑み会。2時間たっぷりお酒とおしゃべりを楽しんだ。

3月某日
小雨。ウエルシアで降圧剤などの薬を受け取りマッサージへ。マッサージの後、ウエルシアでウイスキーを購入。朝飯が遅かったので15時から開く我孫子駅前の居酒屋「しちりん」でランチ兼昼飲み。焼酎のホッピー割とウイスキーのソーダ―割をいただく。つまみはホタルイカの刺身と国産にんにく焼。国産にんにく焼は小鍋でニンニク1個を小片に分けて焼き、その小鍋で卵を焼く。自分でやることも出来るのだが、私はもっぱら女性店員の「みゆき」さんにやってもらう。

3月某日
「帰れぬ人びと」(鷺沢萠 講談社文芸文庫 2018年6月)を読む。鷺沢の小説は20年ほど前によく読んだ記憶がある。透明感のある作風と文体が好きだったのかも。鷺沢は68年生まれ、上智大学在学中に「川べりの道」で文学界新人賞受賞。04年4月11日に自死。
「帰れぬ人びと」には表題作のほか「川べりの道」「かもめ家ものがたり」「朽ちる町」が収録されている。「川べりの道」は東急電鉄の鵜木駅界隈に女性と暮らす父から生活費を貰いに訪れる高校生の日常を描く。「かもめ家ものがたり」は京浜急行蒲田駅前近くの「かもめ家」という居酒屋を任された若き板前コウと親方、常連客の物語。「朽ちる町」は「ヒキフネガワドオリ」にある小さな塾の講師、英明と塾に通う子供たちを描く。そして「帰れぬ人びと」は翻訳の下請け会社に勤める村井と資産家に嫁いだ姉、そして村井の会社の同僚や社長を描く。いずれもフィクションだが、鷺沢の実生活をモデルとしたような家族関係などが垣間見えて私には興味深かった。

3月某日
今日は元厚労省の堤さん、元滋慶学園の大谷さん、滋慶学園の東京福祉専門学校副学校長の白井さんと鎌倉橋の「跳人」で会合。18時からの予定だが堤さんから少し早めに17時30分ころ店に行くとのメールが入る。読みかけの「深く、しっかり息をして-川上未映子エッセイ集」を持って常磐線に乗る。上野から歩いて御徒町へ。14時過ぎに御徒町駅北口の町中華「大興」でランチ、生姜焼き定食をいただく。大興は大谷さんに連れて行ってもらった店だが一人で行くのは初めて。生姜焼き定食も初めてだったが美味しかった。御徒町から神田へ。17時30分までは時間があるので千代田区立神田まちかど図書館で「深く、しっかり息をして」の続きを読む。全部読んでしまったが、まだ時間があるので「跳人」のある鎌倉橋ビル1階の喫茶店でコーヒーを飲む。17時を過ぎたので地下1階の「跳人」へ。スマホを見ると「今日は行けません」と堤さんからメールが入っていた。18時過ぎに大谷さんが来る。二人でビールを呑み始める。白井さんは道に迷ったそうで30分ほど遅れて到着。東京福祉専門学校は年友企画のときに入学案内を作らせてもらった。その後も白井さんには「胃ろう・吸引シミュレーター」の開発でお世話になっている。大谷さん、白井さんとは共通の友人も多く、話はたいへん盛り上がった。白井さんにはお土産に高級クッキーをいただいた上にすっかりご馳走になってしまった。白井さんは大手町から東西線で西葛西へ。私と大谷さんは神田から山手線で上野へ。大谷さんは上野から川口、私は我孫子へ。